学習継続:モティベーションについて色々考えてみた。

Monoxer Advent Calender 2023 20日目の記事です。 モノグサでProduct Managerとして働いているマチューです。英語四技能のプロダクト、又新領域関係のプロダクトの担当をしています。 今回は、学習という観点で「モティベーション」について記事を書きました。

はじめに

真剣に勉強を始めようと決めたとき、学習者の皆さんは長い旅に出ることになります。通常、追い求めるゴールは遠く、到達するまでに数週間から数ヶ月かかることもある。例えば、英検2級から準1級を目指したとして、平均11ヶ月、約450時間勉強する必要があると言われています。これは膨大な労力である。やり遂げられる人もいれば、残念ながら目標に到達できずに途中で投げ出してしまう人も多くいるでしょう。

その違いはどこかから生まれるのだろうか? 「モティベーション」が一つの大きな要因だと考えられます。

モティベーションとは?

ウィキペディアによると、モティベーションは「個人が目標指向的な行動をとるように駆り立てる内的状態」と言われています。この定義から、すでにいくつかの重要な概念が浮かび上がってきます:

  • モティベーションに目標が必要であること。目標がなければ、行動を取る必要がない。
  • モティベーションの結果は、勉強する、体を鍛える、あるいは単に本を開くといった具体的な行動であること。
  • モティベーションは静的なものではなく、状態であること。様々な要因によって変化する。

そして最も重要なことは、モティベーションは人によって異なり、モティベーションに影響を与える様相も異なることです。

自分の学習経歴を振り返ってみたら

モティベーションへの理解を深く掘るために、自分の過去の学習を振り返って、下のグラフでまとめてみました:

このグラフをみて、私の学習経歴は成功、失敗、又は苦労の連続であったことがわかります。

一つの様相として、目的がボンヤリしていたり、弱かったりすると、学習を継続することは中々できなかったことがわかります。例えば、昔スペイン語の勉強を始めたのは、当時スペイン語圏への出張が多く、「スペイン語が話せたらかっこいい」・「便利かもしれない」と感じたからでした。あまり強い「理由」ではなかったことが原因だったのか、結局、スペイン語の教材を買って、2週間勉強して、それ以来一度も開きませんでした。皆さんもこのような体験ありますか?

加えて、勉強が自己中心的なものなのか、強制的にやらされているかによって、学習の継続に影響しているみたいです。私はフランス育ちの日仏のハーフで、中学時代、フランスで生活しながら、放課後日本語の漢字を勉強させられました。当時、日本語を覚えることに対して目的もなかったし、必要性を感じていなかったが、親の強制によって(今は親のモティベーションに感謝しています)、やめないまま高校の漢字まで覚えました。

結局のところ、途中でやめた学習と最後まで頑張ってできた学習の決め手は何でしょうか? それはやっぱり「モティベーション」なのではないか?と思いつつ、なぜ場合によって、モティベーションがでたり、でなかったりするかはわからない。もっと深ぼっていく必要があります。

モティベーション理論

モティベーションは心理学において非常にポピュラーな研究対象であり、モティベーションのメカニズムを説明しようとするモデルやセオリーが数多く存在します。 様々な理論の中で、”Situated Expectancy - Value Theory” (Eccles,2020) は、教育の文脈で人気の理論である。 次のグラフに以上のセオリーをまとめました。 このモデルによって、学習タスクを実行するかしないかの選択を迫られるたびに、学習者は「成功への期待」と「タスクの主観的価値」に基づいて判断することになっています。この判断は学習者の過去の学習経験や文化、自尊心、目標などの個人的要因にも影響されると思われます。簡単に説明すると、出題された時に、学習者は:

  • この学習タスクをうまくこなせる自信があるのか?
  • この学習タスクは自分にとって価値があるのだろうか?

と(無意識に)考えてしまう。もし上記の質問のどれかが否定的な答えにつながれば、学習者のモティベーションが低く、行動(学習)しないことになります。

モデルをさらに詳細に調べると、”タスクの主観的価値”は、下図のように3つのプラス(外在的価値、内発的価値、効用価値)とマイナス(機会費用、努力費用、感情費用)要素に分解されます: これは、個人が与えられた学習タスクの主観的価値を量るとき、無意識のうちに6つの価値要素を全体として見積もり、コスト・ベネフィットに見合うかどうかを自分で判断することを意味している。 この理論によると、学習体験がモティベーションにどのような影響を与えるかは、以下のように容易に想像できます: このように、学習体験や内容ににより、タスクの主観的価値が変わり、学習の継続判断に最終的に反縁されます。

プロダクトでできる、モティベーション対策

以上のモティベーション理論によって、プロダクトで学習者のモティベーションを支える手段は大きく3種類考えられます:

  • 学習で成功体験させるための工夫
  • 学習に纏わる苦しみの解消
  • 学習の価値の最大化

Monoxerのアプリの中に、そのような工夫はすでにいくつか用意されています。例えば、サクサクとクイズを解く学習体験の楽しさ、先生から送られる励ましのスタンプ、あるいは学習をする中で、記憶していく感覚そのものは学習者のモティベーションを支えてくれていると考えられます。それに加えて、ユーザーからのフィードバックに基づき、機能や学習体験の改善を進めています。例えば2023年12月に機能のアップデートをリリースし、スピーキング学習での認知的労力を大幅に軽減できたと思われます。

以下のグラフは、カテゴリーごとでのアプリの平均継続利用率と利用頻度を示しています。ご覧の通り、「Education」のカテゴリーは最も低い位置にあり、学習を長く続けるためのモティベーションはEdTechで最大の課題かと思われます。

(source: https://www.insiderintelligence.com/content/driving-engagement-with-analytics-flourishing-mobile-app-economy-sponsored-content)

モノグサでも今後モティベーションの課題に更に取り組み、全ての学習者のゴールまで辿り着けるようになることを目指します。

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