ソフトウェアエンジニアの狩野です。 Monoxerでは記憶を定着させるために、様々な形式での学習を提供しています。例えば、いくつかの選択肢の中から正解を選ぶような選択肢形式、問題に対してキーボードから回答を入力するような形式、手書きで漢字を回答するような形式などがあります。今回はその中から、キーボードを使って回答を入力する形式に関するお話です。
Monoxerで提供するキーボード
Monoxerでは回答を入力するために専用のキーボードを用意し提供しています。例えば英単語を入力するような問題では、次のスクリーンショットのようなキーボードが学習者に提供されます。 また日本語で回答するような問題に対しては、限定されたキーから回答を入力するようなキーボードが提供されます。 このキーボードは社内では「Monoxerキーボード」や「自由入力キーボード」「日本語入力キーボード」といった名称で呼ばれています。以降、本記事ではこのキーボードを「日本語入力キーボード」と表現します。 「OS標準のキーボードを使わないのか」と疑問に思う方もいるかもしれません。これは利用者の端末や環境に依存せず同じ学習体験を与えるためというのが大きな理由になります。Monoxerでは記憶をするために必要な体験を最適な形で提供しようと試みています。
日本語入力キーボードの苦しみ
日本語入力キーボードでは、正解を構成する文字の他に誤答候補となる単語の文字を配置しています。例えば「りんご」が正解となる問題の時には「りんご」の他に「ぶどう」や「みかん」の文字がキーボードに表示されます。こちらの誤答単語の生成についても非常に深い領域であり、インターン生に取り組んでいただくなどして機能の向上を図っております。詳しくはこちらの記事をご覧ください。 ここで次のスクリーンショットをご覧ください。 同じ形の文字が複数表示されています。それぞれ伸ばし棒の「ー」と漢字の「一(いち)」なのですが、違いが分かるでしょうか? 仕様に詳しい人であれば「カタカナの後ろにあるやつは伸ばし棒のー」「漢字のキーの前にあるやつは漢字の一」だと予測することができるのですが、初見で遭遇した人は混乱してしまいます。もちろん入力するキーを間違えれば不正解となります。結果だけ見るとどこが間違っているか分からなく、納得感がありません。 余談ですが、ここで取り上げたような似た文字に関する話題はMonoxer以外でも度々見かけられ、頭を悩ませる原因になる事も多いようです。
似た形の文字同士をペアにする
似た形の文字を考えてみると、実はそんなに種類が多くないことが分かります。
- 伸ばし棒の「ー」と漢字の「一」と全角ハイフン「-」
- カタカナの「ニ」と漢字の「二」
- カタカナの「エ」と漢字の「工」
- カタカナの「カ」と漢字の「力」
- カタカナの「ト」と漢字の「卜」
- カタカナの「ロ」と漢字の「口」
そこでMonoxerでは上記問題に対処するために、似た形の文字同士をあらかじめペアとして持つことにしました。その文字が解答に使われる際には、ペアのもう片方の文字をキーボードに採用しないキーのセットに追加します。そうすることで、似た形の文字は同じキーボードに表示されなくなるようになります。 今回は日本語に限定した対処としましたが、将来的に他言語での文字にも対応できるよう拡張しやすいコードを書くことなども行っています。既存のコードもとても拡張しやすいように書かれており、最小限の変更で機能を追加することができました。 また余談にはなりますが、似た形の英語には既に対処されていたりします。大文字の「I(アイ)」と小文字の「l(エル)」は見た目上同じ形ですが、Monoxerでは大文字のI(アイ)の表示を変えることで見分けがつくようになっています。
学習の苦しみを解決する
以上のアップデートにより、学習で生じる苦しみが解決されました。モノグサでは、記憶にまつわる本質的な苦しみを100件解決することを2023年度の目標として掲げています。そして本件はその中の1つの事例となりました。 そしてMonoxerではキーボード以外にも、日々様々な領域で記憶にまつわる苦しみの解決が試みられています。そのすべてをこのような形で公開することは難しいですが、Monoxer アップデートブログを見ていただけるとある程度雰囲気が分かるかもしれません。
Monoxerに限らず、世の中には解決したい記憶にまつわる苦しみがまだまだたくさんあります。記憶の苦しみを一緒に解決したいという方は、ぜひ採用サイトをご覧ください! モノグサでは職種問わず一緒に働ける方を募集しています!