Monoxer Intern Report #22_生成AIによるコメント入力支援機能で学習回数を増やそう!

自己紹介

初めまして。モノグサのソフトウェアエンジニア(SWE)インターンに参加させていただいた叶洋瑞です。普段は東京科学大学(旧東京工業大学)の融合理工学系で学んでおり、日常的には主にバックエンドのコードを書いています。

取り組んだこと

私は主に学校様向け管理画面における新機能開発と、バックエンドの改善タスクに携わらせていただきました。その中でもメインタスクとして、「生成AI(LLM)を利用したリアクションコメントの自動生成」の開発に取り組みました。

 

メインタスクの背景

Monoxerには、管理者が学習者に対してスタンプやコメントを送信し、学習を褒めたり励ましたりする「リアクション機能」があります。しかし実際の利用データを分析してみると、送信されるリアクションのコメント率は約1割にとどまり、残り約9割はコメントが添えられていない(スタンプのみが送られている)状態でした。この最大の原因は、管理者が一人ひとりの学習状況を確認し、手動でコメントを入力する際の「心理的・時間的負荷の高さ」にあると推測されました。

一方で、直近のデータを分析した結果、非常に興味深いことが分かりました。単なるスタンプのみを受け取った学習者と比較して、「コメント付きのリアクション」を受け取った学習者は、翌日の学習回数が大きく向上することが統計的にも有意に証明されたのです。

つまり、「コメント付きのフィードバックは学習のモチベーションアップに絶大な効果があるが、入力する管理者の負荷が高いため十分に活用されていない」という課題がありました。

生成AIによるコメント自動生成の実装

そこで本プロジェクトでは、管理者の負担を大幅に減らしつつ、質の高いフィードバックの流通量を増やすために、LLMを用いた入力支援機能を実装する意思決定と一部の開発をしました(本記事執筆時点では開発中であるため、実際のリリース時には仕様が一部変更となる可能性があります)。

具体的には、管理者がスタンプを選択すると、対象者の「直近の学習データ」を取得し、選択したスタンプが持つトーン(例:励まし、称賛など)等に合わせて、AIがパーソナライズされたコメント案を自動生成します。生成された文章はテキストボックスに展開され、管理者はそれを確認・微調整して送信するだけで済むようになります。

実装上の工夫と意思決定

本機能の実装にあたり、エンジニアリングの観点からいくつかの重要な意思決定を行いました。

1. モデルの選定とUXの最適化

AIモデルには、既存の機能で既に実績があったGeminiシリーズの中から、最終的に「Gemini 3.1 Flash-Lite」を採用しました。 コストパフォーマンスが非常に高く、推論の設定を最適化することで、比較的に高速なレスポンスを実現できました。これにより、管理者の操作を妨げないスムーズなUXを提供できます。

2. 一斉送信(バルク送信)時の仕様の取捨選択

クラス全員に対してリアクションを一斉送信する際の仕様について、チームで深く議論を重ねました。 「学習者一人ひとりのデータを使って個別生成する」案や「クラス全体のサマリーデータから生成する」案も検討しましたが、APIコストの増大や、AIが不自然な文章を生成してしまうリスクを考慮し、最終的には「一斉送信時はあえて学習データを使わず、スタンプに合わせた自然な励まし定型文を生成する」という仕様に着地させました。パーソナライズの度合いは下がりますが、致命的な事故を防ぎつつ管理者の負荷を下げるというMVP(Minimum Viable Product)としての最適解だったと考えています。

3. データドリブンなリリース範囲の決定

新機能を全環境へ一斉にリリースするのではなく、初期フェーズは「学校向け管理画面」に限定してリリースすることに決定しました。
背景として、Monoxer上のリアクションを送信できる画面は多岐にわたるため、初期から全箇所に一括実装してしまうと、開発やQAなどのリソース負荷が過大になってしまうという懸念がありました。

そこで「どこから優先的に導入して価値を検証すべきか」をデータ分析に基づいて検討しました。その結果、学校向けの環境は「管理者一人あたりの担当学習者数」が多いため業務上の負担が大きく、本機能による業務効率化の価値が最も見込めること、そして何より「学校の先生からのコメントは、他の環境に比べて学習者の学習回数を劇的に向上させる(効果のインパクトが非常に大きい)」ことがデータから裏付けられたため、まずは学校様向け管理画面にターゲットを絞ってリリースを行う決断をしました。

その他のタスク

メインタスクの合間には、Webフロントエンドでの細かなUI改善(パンくずリストの対応など)や、バックエンドにおける学習回数ランキング集計ロジックの移行等にも少し携わらせていただきました。

インターンの感想

今回のインターンでは、ただ言われた通りにコードを書くのではなく、「実際のデータを見て仕様の仮説を立てる」というデータ・ドリブンな意思決定を経験できたのが非常に面白かったです。

また、正式な Design Docを執筆したのも初めての経験でした。自分のアイデアをドキュメントにまとめ、社員の皆さんと議論しながら最適なアーキテクチャや仕様に落とし込んでいくプロセスは、SWEとして大きく成長できた実感があります。

LLMという強力な技術を使って、プロダクトの価値をいかに拡張していくかを最前線で体感できた、非常に充実した約2ヶ月間でした。手厚くサポートしてくださったメンターさんをはじめ、モノグサの皆様には心から感謝申し上げます。

本当にありがとうございました!